放送作家は演出家にケンカを売ってはいけません。
私も過去に、片手でも余る回数ですが、演出家と衝突したことがあります。
(500作品近く作ってきた中の、たった数番組ですから許してください
基本はとても温厚で、誰とでも仲良くできる人間ですよ……)
「あの演出家じゃ、この番組は作れない、変えてくれ!」、と。
私が作った、私の企画です。ちゃんと育てられる人に育てて欲しいのです。
でも、企画書なんて通過儀礼で、枠さえ取れれば関係ない!
という演出家の考えもわかります。
企画書は、多くは夢を語り、携わる人たちをその気になせるのが目的ですから、
現実に番組にする段階では、モロモロ調整しなくてはならないことが
山積なのは当たり前なのです。
それは私もわかっています。
でも、どうしても折り合いがつかないこともあるのです。
当然、演出家もケンカ腰です。
「あいつは生意気だ、降ろしてくれ!」
この勝負、どうなると思います?
……過去、全敗です。
私が番組を降ろされて、演出家が残ります。
それが宿命です。(単に私の力が弱いだけなのかっ???)
演出家は財産です。(局D、社外D、関係ありません。演出家は財産です)
でも、放送作家は消耗品でした。
だから、若手の放送作家は、決して演出家とケンカはしてはいけません。
まあ、当たり前と言えば、当たり前の話なんですけどね。
だったら、私も放送作家をやめて、演出家になればいのですが、そう簡単なものでもないようです。
……でも、消耗品には、消耗品の矜持があります。
それはまた、機会があったらお話しします。